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令和2年第1回定例会質問原稿

 質問原稿 

 私は渋谷区議会自由民主党議員団を代表して大きく五点質問いたします。質問に入ります前に一言申し上げます。 都区制度について所感を述べたいと存じます。私は、平成七年に当選いたしました。期別で見ますと私より期が上の先輩議員は、木村正義議員、伊藤毅志議員、五十嵐千代子議員、苫孝二議員であります。二五年前当選時、本区の大きな課題の一つが自治権の確立でありました。当時本区は市並という位置づけであり、政令指定都市に置かれる行政区によく間違われたものであります。本日この議場にも本区の行く末を見守っていただいている齋藤一夫先生、薬丸義郎先生が居られますが、そうした先達の方々が心血を注いで取り組まれたのが都区制度改革であります。昭和二七年地方自治法改正で、特別区は東京都の内部団体とされ、区長公選制が廃止されました。その後、本区において区民、議会、行政が一体となって悲願である自治権を確立するため、昭和三十三年に自治権確立期成連盟を立ち上げ都や当時の自治省への要請活動や、区民集会などを行いました。こうした自治権拡充運動の盛り上がりが結実し、昭和五十年区長公選制が復活したのをはじめ、特別区を原則市並みとする改革が行われました。ですがそれでも当時は市並でありました。その後、平成十二年清掃事業をはじめとする三十八事業を都から移管され、又地方自治法改正により名実ともに本区は基礎自治体となったのであります。その変遷を実際に見てこられ、悲願達成のために努力されてきた方々が先ほどお名前を申し上げた方であります。しかし当時未完の都区制度改革といわれ、主要五課題といわれる、事務の役割分担や都市計画交付金の扱い、清掃関連経費の取り扱いなど当時積み残された課題を都区双方で協議して参りましたが、区の財源を充てるべき範囲を巡って、都区の見解は、大きく乖離しました。すなわち区側が対象は三十三事務約六千八百億円とすることに対し、都側は、対象事務は二百三十二事業一兆二千億円とし、さらには、これに付随して二十三区合併再編が必要不可欠とする非現実的で牽強付会な理論を持ち出したのであります。その後、平成一九年から財源配分のあり方については、都区のあり方検討会を設置し協議しておりますが、平成二三年以降今日に至るまで協議は事実上ストップし膠着状態であります。私の見解を述べれば、都側は、法制度上明確な規定がないため、理由の論理付け次第で役割分担はいかようにもなり、財源を区に移譲する気はさらさら無いと言うことであります。この事は、後段の児童相談所の質問でも述べて参ります。かつ又区側も、都心区、周辺区で都区財政調整制度の依存度が全く違い、二十三区全てで足並みが揃わないことも都は見透かしているのであります。しかし私は今でも、事務の役割分担と財源配分を解決しなければ平成十二年に行われた都区制度改革は完結しないと思っております。それは心血を注いだ先人の方達の想いでもあるからです。なぜ今このような話をするかといえば、議場にいる全ての議員がこの事を認識されているでしょうか。先日区議会事務局に、都区財政調整とは何か聞きに来た議員がいたと仄聞しております。非常に危機感を覚えるものであります。無知の知という言葉通り、知らないでそのままにするより、知識として習得することの意義はあるものの、都区財政調整制度は、まさに二三区特別区が「都の区」といわれる象徴であり、本区においては、悲願である都区制度改革、自治権確立運動と連綿と繋がっていることを老婆心ながら、訴えたかったからであります。本区が基礎自治体になって約二十年平成十二年以降に議員になられた方、入区された職員の割合が増す中、この認識を風化させてはならないのであります。是非区長に置かれては、都と対峙する気概を持って協議の場に引き戻すこと。又私ども議会も矜持を持ってその要請活動を行わなければなりません。議長並びに自治確の委員長、さらには私も含め渋谷区議会が奮起しなければならないと申し上げ質問に入ります。

 始めに、この度改定される実施計画二〇二〇の策定について質問いたします。本区は、平成二八年一〇月に、二〇年後の未来像を「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」とする新たな基本構想を策定しました。多様性の尊重を色濃く打ち出し、しかも誰にでもすっと心に残るすばらしいフレーズであると考えます。余談になりますが、新たな基本構想策定作業中のお隣目黒区での審議会において、「渋谷区のようなキャッチフレーズを打ち出したい」といった意見があったとのことであります。本区の面目躍如たる想いが致します。ちなみに目黒区の現行基本構想の基本理念は、人権と平和を尊重する。環境と共生する。住民自治を確立する。の三つを設定しており、そのどれもが大切なフレーズであります。その言葉を引き継ぎすばらしい基本理念を策定して頂きたいと存じます。話を本題に戻し、翌、平成二九年二月には、この未来像の実現にむけ、基本構想に掲げた七つの政策分野ごとに、その具体的な施策の方向を示す一〇年間を期間とする長期基本計画と、その計画に基づき今後三年間に実施する主要な事業の具体的計画を示した渋谷区実施計画二〇一七を策定したことはご案内の通りであります。この実施計画は、三年ごとに改定し、ローリングしていくもので、主要な事業計画を長期基本計画、更には基本構想の実現に向けて、都度、俯瞰しながら検証し微調整を加えて、次の実施計画を策定していくものであります。改めて、実施計画二〇一七を見ますと、示された具体的な施策の中で、子育て・教育の分野では、待機児童対策やICT教育の推進などが図られ、又福祉の分野では、特別養護老人ホームや高齢者住宅の整備が拡充されるなど着実に実現している施策がある一方で、昨今の地球温暖化、気候変動によるかつて経験したことのない大型台風の発生、それの影響による暴風雨水害の対応、新型コロナウィルス対策など新たに発現した事象、実施計画二〇一七に施策として位置づけられているもののビルの緑化・都市施設スペースにおける緑化の推進やバリアフリー基本構想策定に基づくやさしいまちづくり推進事業、区長発言にもありましたプラスチック製品のさらなる資源化などアクセルを踏むべき施策など考慮する必要があると考えます。そこで区長に質問いたします。渋谷区実施計画二〇一七についてどのように総括しているのかお聞かせ下さい。また、今回、作成した実施計画二〇二〇において、前述したような新たな視点や社会経済情勢等の変化に対する対応を含め、込められた区長の想い、その特徴について所見をお聞かせ下さい。

 次に、まちづくりについて二点伺います。最初にスタートアップ・エコシステム拠点都市形成について質問いたします。令和元年六月、内閣府・文部科学省・経済産業省が「Beyond Limits.Unlock Our Potential〜世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略〜」を策定し、スタートアップの増加に向け起業のしやすい拠点都市作りを目指す事としたのはすでにご承知の通りだと存じます。これを踏まえ我が会派は、令和元年第三回定例会に於いて質問し、区長からは、「国が目指す世界に伍するグローバル拠点都市に最もふさわしい都市は、渋谷であると確信している。今後、スタートアップ・エコシステムの拠点都市を目指す為には、大学や民間企業等を巻き込んだコンソーシアムの形成が必要で、具体的なコンソーシアムのメンバー等について、検討を進めていく」との決意を述べられました。私も、本区は、渋谷区長期基本計画(二〇一七〜二〇二六)において、創業・新規事業展開への支援を重点項目と位置づけている事や、国際的な知名度も高く、IT企業が集積している事に加え、スタートアップ企業への支援拠点やコワーキングスペースも数多く有していることから、グローバル拠点都市として十分な機能を果たすものと確信しております。公表されたスケジュールでは、三月末にグローバル拠点都市を全国で三カ所程度選定されると承知しております。他方、内閣府の発表を受け、全国の多くの自治体が強い関心を寄せる中、広域自治体が広域連携を模索し始めました。こうした動きの中で東京都が本年一月「スタートアップ・エコシステム東京コンソーシアム」を立ち上げ東京にスタートアップ・エコシステムのグローバル拠点都市としての地位を確立させるために本区に連携を呼びかけたと仄聞しております。確かに東京都と連携することで、更に大きな推進力を得る事は間違いないと存じますが、前述した通り、本区単独でもグローバル拠点都市としての機能は十分果たせ又、その諸条件を東京のどの自治体よりも具備しているとも考えます。そこで区長に質問いたします。現在、応募に向け準備を進めているものと承知していますが、都との連携を含め進捗状況をお聞かせ下さい。又、本年度新たに経営企画部副参事として、国際戦略推進担当課長を新設したことは、グローバル拠点都市に選定された際の対応と考えるところですが、担当課長にどのような役割を担わせようとお考えか、ひいては、本区の目指そうとする都市像についてその所見をお尋ねいたします。

 次にササハタハツまちづくりについて質問いたします。現在一〇〇年に一度といわれている渋谷駅周辺再開発事業は、大型商業施設も相次いでオープンしオリンピック・パラリンピック競技大会開催年である本年、国内外からの来街者受け入れ体制が整いつつあると感じるところであります。これと切り口を異にする笹塚・幡ヶ谷・初台エリアに目を向けると、面として繋がり合い未来を創造する為、平成二九年度よりフュチャーセッションがスタートしました。このセッション立ち上げにより、このまちに住んでいる人、働いている人、学んでいる人、興味がある人の誰もが主体的にまちづくりに参加することにより、多様な関係者が協力してまちづくりを進めていくという新しいまちづくりの手法に大いに関心を寄せるところであります。今年度もフュチャーセッションには毎回多くの方々が参加され、数多くのササハタハツプロジェクトが参加者同士の協働によって企画立案され実施段階に入ったと承知しております。今年度は、共創のまちづくりプラットホームとしての「まちラボ」による地域コミュニティ形成を促進する取り組みを展開していく為の準備段階にあり、それらを実践していく為に多方面から議論を進めております。フュチャーセッションにより生まれたササハタハツプロジェクトが、今後のまちラボの支援により一層進化し、地域コミュニティの原動力となって行くと共に多くの区民から注目され、支持されるプロジェクトになるよう期待しております。昨年第三回定例会において、我が会派からの質問に対して、区長は「まちづくりの重要なセクターの一つである民間企業のノウハウやリソースとも連携しながら、地域住民を主体とした街の担い手の確保や、商店街の活性化にも繋がるプロジェクトを進めていく」と答弁されました。そこで質問いたします。今後のササハタハツまちづくりでは、民間企業のノウハウやリソースとどのように連携していくのか又、具体的に、「まちラボ」としてどういった取り組みを展開していくつもりか、その後の進捗状況も含めお尋ねいたします。

 次に障害者福祉について質問いたします。私は、平成二八年の第四回定例会に於いて、本区の区立障がい者施設において、生活介護の利用者が定員に達する見込みで、とりわけ重度の障がい者を専門に受け入れる生活介護施設がないことを踏まえ、はぁとぴぁ原宿に隣接する国有地を活用した新規施設の設置について区長に伺いました。このとき、区長答弁として、国有地を購入し、はぁとぴぁ原宿に隣接する渋谷保育園の建物と併せて、障がい者の為の地域生活支援拠点を一体的に整備する旨の答弁を戴きました。その後、本区は、障害者団体連合会の各加盟団体、区立施設の利用者や保護者、その他区民一般を広く対象とする意見交換会を実施した上で、はぁとぴぁ原宿に隣接する国有地に渋谷保育園を移転し、その保育園跡地に、重度の身体障害者、特に重症心身障害のある方や医療的ケアを必要とする方が利用できる「(仮称)神宮前三丁目障がい者施設」を建設する運びとなったことはご案内の通りであります。そして、昨年七月には公募型プロポーザルで事業運営提案の採用事業者を決定し、現在は基本設計に着手していると承知しております。そこで区長に質問いたします。先ほどの所信表明で区長はこの新たな施設について、来年度中に実施設計をスタートし、引き続き当事者や家族、事業者などと協議しながらサービスの内容、災害時の対応、地域との連携などを具体化していくと発言されました。この事は、行政が主導するのではなく、当事者や家族、事業者の声を聞きながら施設整備を進めていくというダイバーシティ&インクルージョン渋谷にふさわしい手法と評価するところであります。こうした声を反映した施設の概容について、現段階で、特徴的なものをお聞かせ下さい。

 次に健やかな子育て環境を整備する観点より本区における児童相談所設置について質問いたします。令和二年度の都区財政調整協議が二八日都区協議会で合意しました。内容は、令和二年度の財調配分割合を区側五五.一%、都側四四.九%とするもので配分割合の変更は実に一三年ぶりであります。今回区側が主張した内容は、世田谷・江戸川・荒川先行三区が新年度児童相談所開設関連経費〇.二六%増を求めた事に対し都側が難色を示し、結果区側の配分割合を〇.一%増とすることで折り合ったものであります。この決定は、政治決着の何者でもないと考えます。理由として、先行三区の児相関係費の需要額は、約四九億円といわれ、この〇.一%を額にすると約一八億円となり、その開きは、実に約三〇億円にも上ります。事実ある区長が、〇.一%の積算根拠がないと噛みついたと仄聞していること、令和四年度に再協議することからもその証左と考えるところであります。私は、平成二八年の第四回定例会において述べたように、都側は、児童相談センターを含む児相は区に移管しないこと、当然専門職員の身分切り替えも行わないことを明言しております。さらに、当時の都側幹部の発言を紹介すれば、「児童相談所には、虐待を含む困難事案に対応できる専門性と施設への広域的な入所調整が出来る体制が不可欠であり、家庭復帰までの一貫した対応が求められること。これに加えて現在の特別区の現状は、人口五万人の区から九〇万人を超える区まであり、区に移管するとなれば、全ての区に一時保護所の整備、児童福祉司を始めとする豊富な経験を有する人材確保と育成が不可欠になること」を挙げ移管に極めて否定的でありました。一方で九日の新聞報道によれば、児童虐待が増加の一途をたどる中、緊急に子どもを預かる児童相談所の一時保護所が定員超過に陥っているとして、東京都においては、全七カ所の一時保護所の内六カ所が超過、残る一カ所もほぼ満員であるとのショッキングな報道がありました。この状況を見れば、早急に一時保護所を含む児童相談所の整備が求められるにもかかわらず都側の対応は、前述した通りであります。こうした状況下、児童相談所整備に否定的である練馬区が、本年七月練馬子ども家庭支援センター内に児童虐待への対応を中心に行う拠点を都の児童相談センターと共同で開設するとのことで、拠点には、都の児相職員が週一回以上訪問し、同センターと共に虐待案件の対応を行うとしております。児相を設置することなく都区連携の下で対応する新たな手法であると考えるところであります。そこで区長に質問いたします。都の財政支援が得られない状況の中で本区は、先行する世田谷区と連携しながら児童相談所整備について検討をしていると存じますが、その展望をお尋ねいたします。

 次に教育について区長並びに教育長に質問いたします。

 最初に学校施設長寿命化計画の策定と学校施設についてお尋ねいたします。国において、平成二十五年十一月に策定された「インフラ長寿命化基本計画」に基づき各インフラ管理者が個別施設ごとの長寿命化計画を策定する事を求め、学校施設においても、文部科学省は、令和元年度以降の交付金事業採択に当たって、長寿命化計画の策定状況を勘案するとして更に、令和三年度以降の交付金事業は、長寿命化計画の策定を事業申請の前提条件とする方向で検討している為、本区において新年度学校施設長寿命化計画の策定は必須であると認識しております。また文部科学省は、具体的に長寿命化計画の策定に当たっては、単に数十年前の建築時の状態に戻すのではなく、近年の多様な学習内容・学習形態に対応した機能的な計画とすることにより教育環境の質的向上を図ると共に、壁・窓等の断熱性向上や高効率照明・空調の導入などの省エネルギー化、再生可能エネルギーの活用、防災機能の強化、木材の活用、バリアフリー化などの現代の社会的要請に応じた「レトロフィット」即ちサスティナビリティ向上の視点を取り込むことを求めております。この事を踏まえ教育長に質問いたします。本計画策定に当たり、前述した課題の他、社会の変化・進展に対応した機能や役割等に配慮した学校施設のあるべき姿について所見を伺います。 又近年本区において、区立学校の児童・生徒、特に児童の増加は顕著であります。そこで、計画策定に向けて、今年度行った準備行為さらには、大規模改修で対応する施設と、課題解決の為建て替え再整備を必要とする施設について、その選択に至った経緯を丁寧に保護者や地域の皆様にも周知し、その見通しを示すべきと考えますが教育長にお尋ねいたします。

 次に児童・生徒の増加に伴う渋谷本町学園の施設整備について質問いたします。先にも触れましたが、本区全体の傾向として、児童・生徒数は、近年増加傾向にあります。特に小学生に於ける増加傾向は顕著であり、特別支援学級も含めた児童数が平成二十九年度は、六.〇四八人、平成三〇年度は、六.三六二人、今年度については、六.六三一人となっており、年度ごとにおよそ三〇〇人増加しております。とりわけその中でも、区内唯一の小中一貫教育校である渋谷本町学園は、平成二四年度の開校以来義務教育九年間を見通した教育活動を行い、多くの児童・生徒達が就学する学舎であります。いずれも五月一日現在での人数になりますが、開設した二四年度の児童・生徒数は、五三二人、ここ三年で申し上げれば、平成二九年度七六五人、平成三〇年度七七八人、今年度は七七六人となっております。更に新年度においては、小学校入学生が開校以来初めて、四学級になる可能性もあると仄聞しております。本学園は、入学希望者が多く、毎年抽選を行っていることを考え合わせれば、令和三年度以降についても、四学級となることもあるのではないかと考えるところであります。保護者や子ども達から選択され、多くの子ども達が就学する学舎となることは、私の地元でもあり、大変うれしいことであります。しかしながら、学級数の増に関しては、学年運営や学校運営に多大な影響を及ぼすだけではなく、キャパシティというハードに関する側面があることを忘れてはなりません。受験シーズンを迎え私立を選択するご家庭もあり、ぎりぎりまで入学者が確定しないことは承知しておりますが、渋谷本町学園においては、中長期的な視点を持って、根本的な対応をする必要があるものと考えます。そこで根本的な対応として、本町学園みどりの丘公園を活用することは出来ないでしょうか。学園に隣接するこの公園は、当時の地権者の方達が校地に供したらどうかとの打診があり、区で検討した結果、すでに渋谷本町学園の新設工事が着手されていることから防災の種地として、住宅市街地総合整備事業を活用した国の補助金を得て取得されたものであります。従って補助金の交付目的以外の使用は出来ませんが、十年経過した地方公共団体所有の補助対象財産については、原則、報告等で国の承認があったものとみなし、用途・譲渡先を問わず、国庫納付を求めないと規定されており、補助対象施設の転用が可能であります。そして当該地が供用開始後十年を迎えるのが令和四年三月であります。令和四年度四月以降の開設を目途に整備計画を立てることにより、例えば放課後クラブや防災資機材等を移転し教室を確保することにより、入学者増の対応が可能となると考えます。更に当該地から直接校庭へのアクセスを確保することによって、地域スポーツの活動施設として整備できれば、利便性がさらに向上し、地域コミュニティの拠点である渋谷本町学園の活性化にも資すると考えますが区長の所見をお聞きします。

 次にプログラミング教育について質問いたします。新年度から小学校プログラミング教育が必修化されることになります。そのため各区において準備が進められているなか、新聞報道によると、葛飾区では、地元企業が開発・製造した段ボールロボットキット「エムボット」の提供を受けて推進していく予定とのことであります。本区においては、昨年六月に渋谷区教育委員会が民間五社と「プログラミング教育事業に関する協定」を締結し、新年度では締結した各IT企業と連携しながらプログラミング教育を進めていくとしております。具体的には、IT企業の人材を活用した授業支援の実施、教員研修、カリキュラム開発を行い、子ども達が楽しかったと言える魅力あるプログラミング教育を推進するとありますが他方、昨年の文教委員会で報告を受けたプログラミング教育の状況を見ますと、アンケート調査において、新学習指導要領実施前ではありますが、小中学校共に、児童生徒へのプログラミング教育の実施率が低く、加えて教師に苦手意識や理解不足の割合が高かったと承知しております。そこで教育長に質問いたします。プログラミング教育を進める為には、単に必修化されたから取り入れると言うことではなく、なぜ、プログラミングが必要なのか、プログラミングが将来どのように役立つものなのか、ということを示し、次のステップとして子ども達がプログラミングに興味・関心を持ち楽しめるような授業内容の設定や教材の利用が必要と考えますが、新年度に於けるプログラミング教育の施策展開についてお尋ねいたします。

 次に教員の働き方改革について質問いたします。一月の文教委員会で報告があったように区独自の教員勤務実態調査を見ると、推計値ではあるものの、国のガイドラインで示している一ヶ月あたりの勤務時間外の在校時間四十五時間を大幅に超える教員が多いという状況下、教員の働き方改革は、焦眉の急を要する課題であります。とある大学教授の話を引き合いに出せば、かつて、教育実習に行った学生は、教師になる事への想いを一層強めていたが、現在の学生は、教育実習に行くと学校現場の教員の多忙ぶりを目の当たりにして、教師の憧れは失せるという話がありました。このまま教員を志望する学生の減少が更に加速すれば、教員の質や良い人材確保にも多大な影響を与えかねない状況であります。現に今年度、小学校教員の競争率は八年連続で減少し過去最低の二.八倍との新聞報道がありました。全国では二倍を切る自治体があり、「三倍を切ると質の維持が困難」との見方もあり深刻であります。こうした状況を踏まえ、本区では、学校閉庁日の設定、留守番電話の設置、部活動指導員の導入など教員の負担軽減策を実施し、新年度においては更に、スクールサポータースタッフの全校配置など評価するものでありますが、課題解決に繋がるとは到底思えないのは私だけではないと存じます。私は、教員の本分は、質の高い授業とクラス経営だと思います。だとするならばそれ以外に割かれる校務を洗い出し、負担軽減策を講じる必要があります。そこで教育長に質問いたします。区独自の勤務実態調査を踏まえ、保護者や地域の方々更にはコミュニティスクール、区長発言にもありました地域が主体的に組織する「地域学校協働本部」など関係者の理解、協力を得ながら、教員のこれまでの働き方を見直し、子ども達に対して効果的な教育活動を出来る環境を構築する為、今後の取り組みをどう進めていくべきと考えるか所見をお聞きいたします。

 最後に東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の観戦について質問いたします。本年は、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催年となり、大会に向けこれまで準備並びに機運を醸成してきたものをいよいよ実行する段階となりました。本区ではこれまで、競技会場を有する自治体として、リアル観戦事業の実施、区独自のボランティア養成、庁舎一五階スペース四二八を活用した様々な普及活動を行ってきました。当区議会としても特別委員会を設置して、ロンドンパラリンピックレガシーやリオパラリンピックの視察、区民の広場において、本区や各幼・小・中学校の取り組みなどを区民に紹介するなど本区と一体となり気運を盛り上げて参りました。一方学校でも多くのオリンピアンやパラリンピアンが訪れ、競技の体験活動や子ども達との交流活動がなされると共に、日本以外の国のことを調べたり、本区を訪れる外国の方々と触れ合ったりすることなどを通じて、応援文化を根付かせ、多様性理解が進むような取り組みを行って参りました。このように、事前の取り組みを行ってきたからこそ、子ども達には、生涯に残るレガシーとして、オリンピック・パラリンピック競技大会を観戦させたいと考えており、東京都の競技観戦事業を活用し、区立に通う幼稚園の年長から中学校三年生の全ての子ども達が、実際の競技を観戦できるように計画していることは、大いに評価するところであります。他方新聞報道によれば、都の競技観戦事業の調整が難航しており、昨年末までに競技割り当ての確定通知を出すことが出来ず、苦慮しているとの報道がありました。この時期各園や学校においては、新年度指導計画の編成時期となっております。そこで教育長に質問いたします。区内全ての対象となる幼稚園・小中学校において、観戦チケットの配布は確定しているのかお聞きします。次に競技観戦において、一番大切なことは、子ども達の安全・安心の確保であると考えます。大会開催時は、盛夏であることから熱中症対策は必須であり、さらには、多くの来街者や交通規制がある中で、会場までの移動手段についても配慮が必要であります。大会開催迄残り約半年となり、学校においては、前述した次年度の指導計画を検討しているなか、教育委員会として、子ども達の安全・安心を確保する為の対応方針を速やかに検討し、周知する必要があると考えますが、所見を伺います。以上それぞれご答弁をよろしくお願いいたします。

 ただいま、区長並びに教育長からそれぞれ、前向きで、丁寧なご答弁を頂きありがとうございました。特徴的なものについて少し所感を述べさせていただきます。まず、実施計画二〇二〇については、後日、全員協議会の場におきまして、説明があると存じますので、中味を精査し、本年の当初予算案にも、密接に連動していると考えますので、各所管においてその事を念頭に置きながら審議を進めていきたいと存じます。スタートアップ・エコシステム拠点形成については、ほぼ本区が国から選定されようとする目前で都につまみ食いされた気がするのは私だけではないと存じます。そうであってみれば、都が想定している他自治体と並列ではなく本区を特出しする対応を都に求めても罰は当たらないと考えますので、区長の手腕に期待するものであります。ササハタハツまちづくりについては、そもそもネーミングから本町が欠落していることが地元議員としてはいささか不本意であります。是非、点から線へさらに、線から面へと広げていただきますようお願いします。ご答弁では、玉川上水旧水路緑道の再整備と発言されましたが、ニューヨークハイラインにも負けない整備を期待するものです。他方、昨年の第三回定例会で我が会派から要望した通り、神田川支流遊歩道もリソースとしてありますので、こちらも計画し、面としての整備を要望いたします。仮称神宮前三丁目障がい者施設については、室内温水プールや診療所の整備、在宅児童への訪問型支援など素晴らしい提案内容をお聞かせいただきました。地元をはじめ関係の皆様は期待がふくらみ開設が待ち遠しいと思います。是非、誰からも愛される施設としてふさわしいネーミングを公募されると共に、引き続き関係者の皆様と協議を重ねながら推進していただきますよう求めます。児童相談所設置については、様々クリアしなければならない課題があると存じます。私は、拙速に整備することよりもご答弁にもありましたように、本区の特徴である「渋谷区子育てネウボラ」の充実や三警察署との連携さらには東京都の児童相談所との連携強化をまず進め、何物にも代え難いその小さな命の灯火と尊厳を守り抜いていただきますよう求めます。次に渋谷本町学園であります。隣接する本町学園みどりの丘公園活用に前向きなご答弁を頂きました。平成二十四年開校当時、当該公園は、渋谷本町学園の教育資源として利用していくとのことで、当時は、米作り等活用されていましたが、今では、その利用がほとんどありません。私も都市公園法に基づく代替公園整備については承知しており、この課題解消も含め二年の間に調査検討を進めていただき、令和四年度以降の開設を目途に整備できれば、渋谷本町学園は、地域のランドマークとして、飛躍的に地域の活力増進に寄与すると考えます。学校施設の長寿命化計画についてです。検討会を立ち上げること。原則公開としパブリックコメントも実施し、広く保護者や地域の方にも広報するとのご答弁ですのでその推移を見て参りたいと思います。教員の働き方改革においては、学校運営連絡協議会の議題とするとの答弁がありました。本区の特性として、地域や保護者から必ずサポートしたいとの申し出があると信じております。地域や保護者の皆様と一体となって教員の働き方の改善を図っていただきますよう求めます。最後に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会観戦についてですが、一般については、チケットをネットで申し込んでも中々取れない状況下、暫定とはいえ、全ての幼稚園年長から小中学生の観戦準備が進んでいることを評価いたします。教育長のご答弁通り、各幼稚園、小中学校の安全・安心の確保に向け引き続きご努力いただきますよう要望いたします。又区長には、パラリンピック競技大会中心で結構ですので、先日区ニュース一面に掲載されましたパラ草の会とも連携して、多くの区民に観戦する機会が得られるよう引き続きご努力をお願いいたします。以上それぞれ意見を申し上げましたが、私共、渋谷区議会自由民主党は、引き続き当面する区政の課題解消に向け努力して参りますことをお誓い申し上げ私の質問を終了いたします。ご静聴ありがとうございました。

丸山 たかし






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