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平成28年第4回定例会質問原稿

 質問原稿 

 私は、渋谷区議会自由民主党を代表して大きくは、六点区長並びに教育長に質問いたします。

 質問の前に一言申し上げます。十一月十五日の都政新報のコラムに公園今昔物語というシリーズが全十回の予定で連載されております。このコラムによれば、公園という定義自体江戸から明治維新へと時代の転換に伴い欧米諸国の先進施策を日本に取り入れようとした制度の一つであるとのことです。日本で初めての公園は、明治六年太政官布達第十六号により全国で二十五カ所開設され、東京では、浅草公園、上野公園、芝公園など、五箇所を開設しましたが、最初の公園は、どれも神社仏閣の境内などの公開空地であったそうです。その後、日本初の都市計画に基づく公園であると同時に初めての近代的洋風公園として開設されたのが、日比谷公園であり、東京を代表する公園であります。しかしこの首都にふさわしい新たな近代的洋風公園とする着想から開設まで、実に十数年という歳月を要することになり、開設は明治三十六年六月とのことであります。当時の造園技術は、江戸時代からの日本庭園の技術しかなく本格的な西洋式公園の知識がなかったことにより、様々な設計案が出されては不採用となることを繰り返したようで、まさに産みの苦しみを持って誕生した日比谷公園でありました。この当時、公園設計の先駆者といわれ、自らを祖庭と号した長岡安平氏の公園に対する理念というものが、「公園は、徹頭徹尾開放的であり、平等であり、児童本位であること」と現代の公園造りにも受け継がれているものと存じます。翻って、本年は、太政官布達による公園開設より百四十年、渋谷区では、新宮下公園の計画が先月の都市計画審議会において素案の報告がされ、本プロジェクトが胎動し始めました。この素案を元に、原案をとりまとめ報告されることと承知しております。前述した長岡安平氏はこのような言葉も残しました。「庭園は芸術である。この業によって資を得ようとする者は、この業に就くことを断念せよ」その意味するところは、公園造りは、芸術であって神聖なものである。これを商業利用して富を得ようとするなら公園造り行う資格はない、と私は解釈しました。示唆に富む言葉だと存じます。長岡安平氏が示したこうした理念に基づき、宮下公園を整備する。すなわち、都市に潤いを与え、美しく快適な空間を創出し、全ての人々が利用でき、混じり合い、そこで憩える公園。またスポーツ・レクレーションを楽しむ事が出来る一方、大震災や自然災害発生時には避難の場として、活用できる公園、さらには、イベントや多様な区民活動が展開される地域コミュニティの形成、街づくりの拠点として情報や文化の発信に寄与する公園として整備するならば、首都東京を代表する公園として、後世歴史に残る公園になると確信するものであります。是非その気概を持って、取り組んでいただきたいと切に願います。そうであるならば私は、全力でこれを応援して参ります。冒頭この事を申し上げ、質問に入ります。 はじめに、児童虐待等の事案に対応する児童相談所特別区移管について質問いたします。新聞報道によれば、本年六月の法改正により、来年四月より、都道府県並びに政令市に加えて二三区においても児童相談所の設置が可能となり、二三区のうち一九区が具体化に向けての準備を始めたとする報道がありました。区長会では、法改正後準備が整った区から順次、児童相談所の設置を目指す方針と仄聞しております。又区長会会長区である荒川区では、平成三二年四月に開設する予定との表明がありました。この児相移管については、いつの間にか、二三区にとって都区制度改革の悲願と言われてきました。それは平成一二年以降積み残した諸課題として都区協議の一つであったものが、平成二二年に起きた小学一年男児の虐待死事件が発端となり、都も区も異変を察知しながら、適切な措置が取られず最悪の事態を招いたとし、二つの機関が存在することによって、認識に温度差が生じ、迅速な対応が取られなかったと区側が強く都に申し入れた経緯によるものであります。他方、都側の対応をみますと平成二四年から平成二七年まで九回にわたり、「児童相談所のあり方等児童相談行政に関する検討会」において都区間で、児童相談所の移管に係る検討を重ねてきましたが、具体的な進展はみられませんでした。さらには、現在二三区内にある七カ所の児童相談センターを含む児相は区に移管しないとし、当然専門職員の身分切り替えも行われません。又都側幹部の発言では、「児童相談所には虐待など困難事案に対応出来る専門性と施設への広域的な入所調整が出来る体制が不可欠であり、家庭復帰までの一貫した対応が求められる。しかし現在の特別区は、人口五万人の区から八〇万人を超える区迄様々であり、仮に、全ての区へ移管するとなれば、それぞれの区で一時保護所の整備や児童福祉司をはじめ豊富な経験を有する専門人材の確保、育成が不可欠となるなど、こうした課題に対応できるのか」と極めて懐疑的な見解を述べております。さらに設置に慎重な区において担当者の見解として、「児童相談所を含む児童福祉行政全般を各区が担うためには、膨大な財政負担と人材確保が必要となり又、児童相談所業務には、職員の専門的スキルの向上が必要となる。児童相談所設置市の一四事務については、都が一体的に担った方が効率的な事務がある。各区でばらばらに実施する事が望ましいとは言えない」と述べており、こうした発言をみるにつけ暗澹たる気持ちになるのは、私だけではないものと存じます。事は小さな命の灯火と尊厳を守り抜かなければならない重大な課題であります。決して環境整備が整っているとは言えない状況下であり、立ち止まり、状況を冷静に見極める勇気も必要と考えるところです。この事を踏まえ質問いたします。本区としても児相設置に向け準備作業にはいるとの事ですが、区長のお考えをお尋ねいたします。併せて本件に対する今後の対応をお聞かせ下さい。

 次にこうした中にあっても日々困難な状況におかれている乳幼児に対しては、一刻でも早い適切な対応が求められます。児童相談所、本区では児童相談センターが対応しますが、このセンターと子ども家庭支援センターとの間で、処遇上の認識の差や責任の所在が不明確であってはなりません。深刻な児童虐待事例では、この両者の関係が機能していなかった為に起きたケースが問題視されております。本区ではまだこうした事案はありませんが、この事を踏まえ質問いたします。本区として、深刻なケースに対しては、躊躇することなく情報共有や連携を密にして対応することが求められます。東京都の児童相談センターとの連携強化をどのように図っているのか、また現在の状況を考えると今後も両者が連携を強化しながら一体となって警察などの機関と有機的に機能する事が不可欠であると考えますが、区長のご所見をお聞かせ下さい。

 最後に本区における昨年度新規虐待件数は、その前年度と比較して、約二.三倍となっております。今後もこの傾向は続くものと考えるところです。この事に対応するためには、十分な職員体制を確保する事が急務であり又専門人材を育成し、専門的スキルを向上させる視点も加味すべきと考えます。現在の家庭支援センターの相談員体制は、正規三名、再任用三名、その他非常勤二名体制で対応しておりますが、私には到底充分なものとは思えません。今後の相談体制の充実や強化策について区長にお尋ねいたします。

 次に防災対策を含む街作りについて質問いたします。本年は、日本各地で大地震が頻発した年となりました。本年四月十四日に発生した熊本地震では、震度七の地震が二度も発生するなど、これまでに例のない地震であり、大きな被害をもたらしました。又、本年一〇月二一日に発生し、震度六弱を記録した鳥取県中部地震については、まだ記憶に新しいところであります。被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げると共に、速やかな復興を心より願うものであります。さて、今回の熊本地震においては、本区の対応として、他の自治体に先駆けて、発災の翌日には、現地に職員を派遣し、又必要な支援物資を届けるなどその素早い対応に感服し評価するものであります。どこよりも早く届いた渋谷区からの毛布や飲料水などの支援に、現地の避難所では大変喜ばれたと承知しております。他方、今回の熊本地震では多くの教訓もありました。本年第二回定例会における我が会派の質問と少し重複いたしますがあえて述べますと、現地において、支援物資を積んだ大型トラックが、受け入れ施設の前で列を作り、荷物を下ろせず、何時間も立ち往生した事が挙げられます。この事は、支援物資の受け入れ施設ですでに混乱していた事になりますので、届けられた善意の支援物資が、その後各避難所に届いた頃には、もう必要が無くなっていたという、とても残念な結果を招きました。今回、特徴的であったのは、被災した自治体の要請により、物資を届ける、いわゆるプル方式の支援に加えて、松本文明現地対策本部長指揮の下、被災した自治体に、聞き取りをする前に、現地で必要とされるであろう物資を真っ先に届けるプッシュ方式の支援が導入されました。こうしたスピーディーな対応の必要性を痛感する一方で、支援を受け入れる体制が、熊本県の各自治体において不十分であった事は否めない事実であります。 そうした観点からの我が会派の質問に対し、区長答弁では、今年度から三年間で「業務継続計画」「職員行動マニュアル」及び「受援計画」を策定し、最終的に「渋谷区地域防災計画」を修正すると述べております。現在策定中であると存じますが、国や自治体からの応援職員や災害ボランティアをどのように受け入れどこに適切に配置するのか、又支援物資をどのように受け入れ、避難所までどのように配送するのか、さらには、その物資をどのようにして確実に被災者の皆様に届けるのか等あらかじめ計画を定めておく事が極めて重要であります。今後プッシュ方式の支援が主流になる中で、今回の熊本地震で得られた教訓を策定中の「受援計画」に反映している事と存じますが、現在の検討状況についてお聞きします。 今一つの教訓として車中泊対策についての検討はされているのでしょうか。益城町において車中泊をした人は延べ十一万二二五五人、熊本県において、エコノミークラス症候群を発症し入院を必要とした五十二名のうち四十二名が車中泊でありました。又熊本市が無作為に選んだ市民二千四百三十八人から回答があったアンケートでは、車中泊を経験した人は、三十九.二%であったとの報告がされております。担当者は、避難所不足に加え、プライベートな空間を確保したかったり、又高齢者など要介護の家族がいたりする事が理由だと分析しております。この事は、本区といえども風馬牛と聞き流せるものではありません。対応として、指定避難所以外での避難状況の把握や車中泊をする被災者の名簿作成、さらには車中泊の被災区民への検診体制や医師・保健師などによる支援チームの設置などの対応が考えられますが、本区の業務継続計画等策定に反映する考えはないかお聞きします。 さらに現段階での予定では、三十年度には、各計画と整合性がある渋谷区地域防災計画の改訂が行われると承知しておりますが、改訂された渋谷区地域防災計画は、区民の理解があって初めて機能すると考えます。前区長は、各ブロックごとに区民説明会を行いましたが、区民周知に関するご所見をお聞きいたします。

 二点目は、感震ブレーカーの助成について質問いたします。今回の熊本地震においては、幸いにして、火災の被害については、ほとんど聞きませんでした。地震の発生時刻が、夜の遅い時間帯であった事や、四月に入り、暖房器具の使用があまりなかった事も幸いしたのかもしれません。しかし、過去の大震災で、多くの火災原因となったのは、いわゆる通電火災と呼ばれるものです。阪神淡路大震災において、原因が特定された建物火災の約六割が通電火災といわれ、又東日本大震災における本震による火災発生の内、原因が特定された五四%が電気関係の出火とされています。この為、内閣府、消防庁、経済産業省の横断型で設置された「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」では、首都直下地震においては、木造住宅密集市街地における同時多発延焼火災の危険性が改めて指摘され、人的・物的被害の軽減対策として、これまでの市街地整備事業や避難地・避難路の整備、延焼遮断帯の整備等の推進と併せて、ソフト的な出火防止対策、特に感震ブレーカー等の普及に努める事としたと報告がされている事からも極めて有効な物であると考えます。木造住宅密集地域を抱える本区において、延焼火災を未然に防ぐ事は、何よりも大切であります。そのための有効なツールとして本区においてもいつ起きるかわからない首都直下地震に備えて「感震ブレーカー」を速やかに普及させる事は不可欠と考えるものです。

 第二回定例会において、他会派からの同趣旨の質問に対して、区長答弁では、「区では以前より研究しているところであります。ただし感震ブレーカーにもデメリットがあり・・中略・・メリット・デメリットを考慮の上、さらに研究して参ります。」と答えておられます。提案会派が長谷部区政に協力的では無く、たちが悪い事は承知しておりますが、是非再考いただきたいのは、火災の延焼防止のため、道路を拡幅したり、建物を不燃化する、さらには、延焼遮断のため土地を購入するなどは、極めて多大な時間と経費がかかる事は、火を見るより明らかであり、これらの対策に比して、「感震ブレーカー」の設置は、遙かに少ない経費で、すぐにでも実現可能であります。「感震ブレーカー」の普及に弾みをつける意味でも、早急に、区が「感震ブレーカー」に対する助成を実施すべきと考えますが、区長の考えを伺います。

 次に木造住宅密集地域における無電柱化について質問いたします。もとより景観上からも円滑な交通確保の観点、そしてやはり防災上区民の安全を確保する上で、地上にある電線は、様々な障害になる可能性がございます。特に木造住宅密集地域を抱えている本区では、せっかく地区計画を定めて、道路拡幅を推進しても、災害時、倒壊した電柱が避難路の妨げになる、あるいは、発災後、避難所に物資を輸送する際の障がいとなることが想定されます。しかし他方、電柱を地下に埋設することは、莫大な経費と又地中化したとしてもトランスを地上に設置する事が必要になる等まだまだクリアしなくてはならない課題があることも事実であります。昨年第3回定例会で我が会派からの同趣旨の質問に対し区長答弁として、「現時点において、狭隘道路での無電柱化は技術的にも財政的にも難しい課題があります。(中略)区だけで対応出来る課題ではなく、国や東京都からの補助金の動向も踏まえて検討して参ります。」とご答弁されております。現状の無電柱化に対する補助割合は、国が55%、都及び区が22.5%と承知しております。しかし今回、無電柱化を推進する方が都知事に就任されて、局面が変わろうとしております。都知事の定例記者会見での無電柱化に対する見解を要約いたしますと第一に都民の意識がすでにある当たり前な物として存在しており、認識をしていない。第二に競争がこれまで無かった事によるイノベーションが行われていなかった。三つめは電線・通信線を深く埋めなくてはならないとする電力会社の規則がある事を挙げ、この事に対し知事は、皆が気づかないことに意欲を燃やすとして、さらなるイノベーションとコスト削減、そして都民の関心を高めて無電柱化を進めていきたいとの意気込みを示されました。そこで質問いたします。都では平成二六年一二月に策定した第七期「東京都無電柱化推進計画」において、オランピック・パラリンピック競技会場予定地や観光施設が数多く点在しているセンター・コア・エリア内、利用者の多い主要駅観光地周辺等と共に緊急輸送道路や木造住宅密集地域内の道路など、「防災に寄与する路線」での整備を促進させる方針としております。今後都の動向を注視ししつつ、木造住宅密集地域の無電柱化推進の観点より都の政策を活用して整備を進めていくお考えはないかお聞きします。 次に、低下する地域コミュニティに対し、区の対応を質問いたします。昨年十一月にNHKの放映を視聴された方は記憶にあると存じますが、クローズアップ現代という番組でタイトルはズバリ町内会が消える?〜どうする地域のつながり〜という番組が放映されました。大まかな内容は以下の通りであります。「全国約三十万あると言われる町内会が、今危機に瀕している。ある調査では、二十年前約七割あった加入率は今や二十%にまで低下。特に都市部で深刻化している。高齢化や世帯の共働きが進んでその担い手が減る一方、自らのスリム化を進める行政からは、次々と新たな業務の委託が相次ぐ。祭礼などの行事を取り仕切るだけではなく、防犯対策、高齢者の見守りなど幅広い役割を担わされている。元々は戦時中の隣組が発祥であるが、戦後は地域の自主活動としつつ、行政の末端機構に組み込まれてきた実態が、時代にあわなくなっているのではないか。社会が変化する中、地域のつながりをどう守っていくのか、最新の動きを通じて考える。」という内容で行政側からみれば、地方自治法の本旨にも抵触しかねない由々しき問題と言えるとも解釈できます。参考まで申し述べますが、地方自治法二百六十条の二第六項において「第一項地縁団体の認可は、当該認可を受けた地縁による団体を、公共団体その他の行政組織の一部とすることを意味するものと解釈してはならない」と規定されており、大変耳の痛い内容と考えます。しかし他方、阪神淡路大震災では、生き埋めや建築物などに閉じこめられた人の内、生存して救出された実に九十五%が自力または家族・隣人などに助けられており、今回の熊本地震においても改めて災害時の共助の必要性を区民は認識されたのではないでしょうか。又災害時に限らず、日頃の防犯、防火、交通安全等安全・安心で快適な街づくりの為にも、地域の力が不可欠である事は言うまでもありません。さらに、4年後に開催されるオリンピック・パラリンピックへの機運醸成についても、まちの力を抜きには語る事は出来ないものであります。まさに、渋谷区を体にたとえれば、町会・自治会は、隅々に、栄養や酸素を供給する動脈であると考えます。しかし現状は、これまで地域を支え続けてきた町会・自治会は、役員の高齢化、担い手不足、役員の多忙から来る活動限界に達しつつあり、本区の加入率は約三〇パーセントと承知しております。今こそ区からの支援や活性化に資するアプローチをすべきと考えます。そこで質問いたします。 一点目として、地域の任意団体にとどまる町会・自治会に対し、地域コミュニティを維持発展させる基礎的団体と条例で位置づけ、法的な根拠のある団体として、区がその支援と強化を図っていくべきと考えますが、区長のご所見を伺います。二点目として、役員の高齢化や新たな担い手不足に悩む町会・自治会のために、区が率先して、無関心層への働きかけや、若い世代への参加促進などに関わる事も必要と考えますがいかがでしょうか。三点目として、現状を放置すれば、五年後十年後には、会としての活動を停止せざるを得ない団体が出てくる事が予想されます。そうであってみれば、町会・自治会が実施するコミュニティ活動を下支えするよう、様々な支援策を今から拡充すべきと考えますがお考えをお聞かせ下さい。四点目として、町会・自治会の負担軽減の観点より、本当に必要な役割だけを絞り込んだ「ミニマム化」をはかるべきと考えますがお考えをお聞かせ下さい。 

 次に福祉について質問いたします。まず障害者福祉についてお聞きします。本区には、通所で利用できる生活介護施設は、「はぁとぴあ原宿」および「つばさ」の二施設に限られております。現在、特別支援学校の高等部に通っているお子様方の希望を区が聞き取りをした結果、来年度には、両施設とも定員に達する見込みと承知しております。重度の障害者を受け入れる生活介護については、お子様方の送迎のため、車両やこれに伴う駐車場の確保が必要となり、民間の参入が見込めません。従って既存の二つの区立施設で受け入れをしている現状となっております。このような現状から、今後この課題に対応するために渋谷区が、生活介護施設を整備することが求められます。重度の障害のある方でも安心して住み続けられる渋谷こそ区長が標榜しているダイバーシティ&インクルージョンの理念に合致すると考えるからであります。また、区長は従前より、国有地や都有地の積極的な利活用を表明しております。このようなとき先日関東財務局のホームページを閲覧する機会がありました。そこには、公用・公共用の取得等要望を審査中及び処分等方針を決定した物件が掲載されていました。その中で、「はぁとぴあ原宿」、「区立渋谷保育園」の後背地である神宮前三―一八―二五の国有地が渋谷区に売却する方針となっているではありませんか。古来より、隣の土地は借金をしてでも買えとの言葉がありますように千載一遇の機会を捉えたものと評価するものです。そこで質問いたします。はぁとぴあ原宿及び渋谷保育園に隣接する国有地を平成二九年度に取得する予定と承知しておりますが、これを活用して定員を超える見込みの生活介護施設に対する課題解消のため新規施設の設置を図るべきと考えますがお尋ねいたします。併せて区の障害者福祉センター機能の充実のため、生活介護のほかに、施設入所、短期入所、児童発達支援、日中一時支援事業を展開していることは承知しておりますが、これらにとどまらず以前より、区民や団体要望の強かったグループホームの増設等の課題に対応する拠点施設の整備を行うお考えはないかお尋ねいたします。

 次に高齢者福祉に関して伺います。本区は、これまで、高齢者の皆様が安心して住み慣れた地域で、生活できるように特別養護老人ホームをはじめとする高齢者施設の充実に努めてきたものと考えます。本区における六五歳以上の人口は、本年五月現在四二.三七四名でこれに対する特別養護老人ホームの整備率は東京二三区内トップクラスとなっています。さらに、運営においても、指定管理や委託など、民間活力を取り入れ、適切できめ細かいサービスの提供に努めていると理解しております。他方、高齢者の方が日々生活をしている特別養護老人ホームやショートスティ、グループホームなどこうした施設は、二四時間三六五日稼働しているため、老朽化の進行も早いものと存じます。区内で最初に開設した高齢者施設である高齢者ケアセンターは、高齢者の在宅福祉を推進していくための拠点施設として、昭和六二年に開設されました。開設以降、経年劣化のため、近年は、毎年のように手を加えながら運営をしているものと承知しております。従って本施設については、更新する時期を迎えていると思うものであります。只、本施設については、在宅サービスセンター機能として、短期入所生活介護、一般通所介護、認知症通所介護、家族介護教室のほかに、老人福祉センター機能として、各種相談事業及びユーカリクラブやリハビリクラブなどの機能回復訓練、各種趣味の講座、ふれあい食事会などの健康保持事業等を実施しております。昨年度の年間延べ利用者数は二八.六八〇名の方が利用している、区内では唯一の拠点施設であることも事実であります。施設更新時には、こうした利用者の対応も考慮しなくてはならないと考えます。出来る限り渋谷区シニアいきいき大学や健康はつらつ事業のマッチングや振り替え等の代替措置や利用者の利便性や負担も考慮した整備計画を策定する必要があると考えます。以上を踏まえて、区長に質問いたします。老朽化が進んでいる高齢者ケアセンターに対するあり方や整備についてご所見を伺います。 次に高齢者による多発する交通事故の発生を踏まえた施策について質問いたします。 最近、高齢者の運転に起因する死傷者が生じる重大な事故が相次いでおり、全国各地で、小学生をはじめ多くの尊い命が失われたことは、私をはじめ多くの方が胸を痛めていることではないでしょうか。先週開催された交通・公有地問題特別委員会でも話題になったものと承知しております。人口減少社会を迎え、高齢化が進展し、全国的に高齢ドライバーは、増加傾向にあります。都心部において公共交通インフラが整備されているとは言え、自動車の使用は、貴重な移動手段として、また就労に資するものとして、生き甲斐にもつながるものであります。さらに申し上げれば、運転に必要な技術や運動能力、反射神経は、個人差が大きく、年齢だけで運転に必要な能力を断じることには、無理があるものと考えます。高齢者一人一人が、客観的に自分の運転能力を見極めて、体力、判断力、反応力の衰えを認識して、最終的にハンドルを握らない判断をして、運転免許証の返納を自主的に行うことが理想であります。とはいえ、これだけ多くのあってはならない事故が多発し、犠牲になられた方々がいることを考え合わせますと、行政としても何らかのアプローチをする必要性があるのではないでしょうか。仮に、認知症の疑いがあったとしても、本人からは進んで、運転免許証を返納する事は、心理的にも抵抗があり、難しいものと考えますが、それでも、高齢者に起因する事故を少しでも減らしていくために、自主返納に対するインセンティブを高めていくことが必要であると考えます。過去に本区では、高齢者の自主返納を促すために、ハチ公バスの回数券を配布したと記憶しております。本施策は、高齢者の運転免許証の自主返納を促進するための五年間ほどの限定的な事業であったと承知しておりますが、現状を踏まえると再度このような取り組みを取るべきと考えます。そこで区長に質問いたします。高齢者の運転免許証の自主返納を促すことは、第一議的には、国家公安委員会や警察が行うことと考えますが、これを本区が側面からサポートする観点より、ハチ公バスの回数券を配布するなど、自主返納の後押しとなるような施策を行うお考えはないか区長にお尋ねいたします。 最後に教育について質問いたします。最初に食育に関してお尋ねいたします。以前になりますが、ある中学校の学校公開にお邪魔したときの事であります。保護者等参観者がいる中で、積極的に授業に参加する生徒がいる一方、机に頬杖をついていたり、果ては、上半身を机に預けてどう見ても寝ているような生徒もいて、学校公開ですらこの状態ですので、普段の授業はいかばかりであろう。先生のご苦労や、授業の進め方の難しさなど色々考えを巡らした事がございました。そんな中、先日お米やさんのご主人から「うちは学校に発芽玄米を納入しているよ。何でも食育の観点から取り入れてるみたいで、もうずいぶんと長いね。」との話を聞き少し違和感を覚えたのです。私の近くの中学校では、そんな話は聞いておりませんし、何よりも本区は大館市の農協から安価で良質のおいしいあきたこまちを一括で仕入れているからであります。そこで教育委員会に問い合わせましたが、あまり把握をされていないようでしたので、さらに調べていただくようお願いしましたところ、平成二十年度版の学校保健会会誌を見せていただきました。当時の代々木中学校長であった松下先生の寄稿文が掲載されていました。あらましを申し上げますと「食事崩壊と心の病」という本の紹介です。内容は、千葉県の野栄中学校を事例としております。この学校は、当時暴力行為や器物破損などで荒れておりました。学校はこれに対して知育・徳育・体育の重視と共に、「食育」の立場から、玄米給食を導入。校長を中心とする教職員の指導が実り、やがて「生活指導困難校」を脱したという内容を紹介し、最後にこんな文章が綴られておりました。「現在の中学校が抱えている問題(問題行動、いじめ、不登校)のほとんどは、親子関係や友人関係などの人間関係に起因するものだと思っていました。しかしながらこの本を読んでからは、実は、「食」も大きな関係があるのではないかと思ったのです。本校では栄養士、給食調理員と共に検討した結果、家庭での話題作りの意味も含めて、十月に玄米給食を実施する事になりました。(中略)本区の中学校は様々な課題を抱え、日々その解決に取り組んでいます。もし、その一方策として「食育推進」を考えるなら、「玄米給食」を始める事がきっかけとなり、しかも、その効果も十分期待できると思います。」と述べております。又前述の野栄中学校の経過を補足いたしますと、試行錯誤の上、発芽玄米を二割り入れた給食を、生徒に試食させたところ約八十%の生徒が白米と変わらずおいしいと答えた事により発芽玄米を混ぜた米飯給食を導入した事や養護教諭が、発芽玄米に含まれている「ギャバ」という成分には、脳の興奮を抑える作用があり、イライラ、めまい、だるさなどが改善される等の効果がある事も紹介されております。さらに、これとは別に真田町元教育長であった大塚貢氏も、非行で荒れた中学校に校長として赴任した際、生徒達がきちんとした食事を取らず、炭酸飲料やファストフード、スナック菓子などで済ませているケースや朝食を食べない子どもが三十%を超えていた事から、問題の根源は食にあるとみて給食の改善に取り組み、その学校を優秀校に変貌させた実践の中で、やはり給食に十%ほど発芽玄米を混ぜた米飯給食を取り入れております。平成二十二年度の代々木中学校学校要覧では、教育目標として「毎月の給食の献立に発芽玄米給食を導入」との表記があり、七%混ぜた米飯給食を実施し、これは平成二十八年度学校要覧でも脈々と受け継がれているのであります。この事は少なくとも代々木中学校においては、効果が認められている証左と考えるものであります。教育委員会に問い合わせたところ区内全小中学校で発芽玄米給食を取り入れている学校は、代々木中学校ただ一校だけであります。なぜ他校に波及しないのか、教育委員会はなぜこの学校だけ発芽玄米を混ぜた米飯給食を出しているのか、その事の経緯を把握していれば、この間、他校との比較や検証が行われていたものと大変残念な思いであります。私としても、生徒の問題行動が、給食の改善だけで全て解消されるとは思いませんが、多少なりとも効果があるのではないでしょうか。改善の見込みの可能性が少しでもあるならば拡充に踏み切るべきであります。是非、進取の気象を持って食育推進に取り組む視点より、発芽玄米を混ぜた米飯給食を導入すべきと考えます。又その際には、区内業者育成の観点より、渋谷区米穀商組合の協力を求めるものであります。本件については、秋田県大館市との都市交流があることを踏まえて、区長にお尋ねいたします。 次に青少年派遣研修について教育長に質問いたします。先日渋谷本町学園中学校の学習発表会にお邪魔いたしました。その際、日中友好青少年派遣研修とフィンランド共和国児童生徒派遣研修の生徒自らの派遣報告を全校生徒の前で、プロジェクターを使用して行いました。私には、コンパクトに手際よくまとめてあり、しかも派遣生徒が実体験した感想やエピソードも紹介され、大変わかりやすく感心しました。しかしここで思ったのであります。派遣研修に参加した生徒は、併せて二人であります。これに三年に一度行われるドイツ連邦共和国青少年スポーツ交流派遣研修が区立小中学校併せて一五名、本年度が初回となるシリコンバレー青少年派遣研修が、区立中学校二年生各校代表二名の一六名と逆のとらえ方をすると参加しない生徒の方が大部分であります。そうであってみれば、意欲を持ち、事前研修をして経験を踏まえた成果を自校に持ち帰り、在校生全体で共有することは大変重要なことと考える次第であります。研修終了後に報告書がまとめられ、報告していることは承知しておりますが、一過性とすることなく各学校において、こうした成果をどのように活かしているのでしょうか。又これまでに中国の事業は、九回、フィランド共和国では五回、ドイツ連邦共和国では一回と過去の実績を積み重ねておりますが、アーカイブとして次世代の中学生達のために活用することが必要と考えます。すでに毎回、派遣研修に参加する生徒を対象に事前研修で過去の記録や報告書などを教材として活用していることは承知しておりますが、蓄積されたアーカイブをグローバル社会に対応する次世代を担う全区立中学生のため編集して活用すべきと存じますが教育長にお尋ねいたします。さらにシリコンバレー青少年派遣研修については、実施予定が三月の春休みを利用して行うものと認識しております。区長発言では、コミュニケーションを通じて理解し合うことの重要性、加えて、英語教育とICT教育の両面からも意義深いと発言しておりますが、研修を終了した時点で、新学期を迎え、学年も最上級生となります。いつの時点で、得られた成果を各学校の在校生に還元する機会として捉えるのか、教育委員会としても目当てを持っているものと理解しております。教育長に質問いたします。 最後の質問として、同じく教育長に伺います。区長発言にありました、東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みとして、心のバリアフリーの浸透をレガシーとして残したいとの発言がございました。その目指す方向として、オリンピック・パラリンピック教育を推進する中で、教員のみならず、子ども達、保護者や学校を支える地域の人々の意識変革を望むと述べておられましたが、これを受け、教育委員会としてこれをどう捉えて施策を展開しようとするのか伺います。又、最先端のICTを教育に活用していくとして、代々木山谷小学校の検証結果を受けてタブレット端末の活用を今後どう展開して行かれようとされるのか。さらにプログラミング教育において、すでに先行実施した広尾中学校で企業との共同研究の実績を踏まえ、今後、笹塚中学校に導入するとの発言がありました。この事についても、区長は、学校でのICT機器の活用が、従来の黒板とチョーク、ノートや鉛筆に並ぶ便利なツールの一つにとどまることなく、タブレット端末を介して協働的な学びを行うことによってイノベーションを体験するなど、これからの社会で役立つ知識の活用力と創造力を引き出す、いわば触媒として働くことを期待すると述べておられますが、中学校における将来のプログラミング教育を教育政策としてどう位置づけようとされるのか、ご所見を伺います。最後に、新学習指導要領の改訂予定を受けて、グローバル社会を生き抜く「知恵を身につけた社会人」の育成に向けて、ICT教育の推進と共に、英語教育の重要性を述べられ、来年度は、モデル校以外の小学校にも展開するとしております。と同時に、学校図書館専門員を活用した読み聞かせやブックトークなどの読書活動を充実させ、調べ学習でのチーム・ティーチングなどの学習活動支援をはかる事で、「バーチャル」であるICT教育と「リアル」である読書活動、さらには英語教育と国語教育のそれぞれが、両輪のごとく相乗効果をもたらし、子ども達の言語能力を重層的に育成することができるとの発言を区長はされております。そこで質問いたします。言語能力の向上に向けた取り組みを小学校全校でどのように展開しようとされるのか教育長のご所見をお尋ねいたします。




ただいま、区長・教育長より、それぞれの質問に対し、大変前向きで、意のあるところをお酌み取りいただいたご答弁をいただきありがとうございました。主だったものに対し少し所感を申し述べます まず児童相談所の設置についてですが、一八日の都政新報では゛一五日区長会総会を開き、児童相談所を区が開設する際の組織体制や、一時保護所設置方法などをまとめた「児童相談所の移管に向けた具体化の検討の再調整案」を確認したとし、さらに、現時点で、将来の児相設置を目指す二二区で計八七二名の常勤職員が必要となる試算結果が示すとともに、児童福祉司や児童心理司、一時保護所職員などの確保・育成策などが盛り込まれたとの報道がありました。こうした状況を見ると設置に向け加速しているかのようであります。たしかに区長が答弁されているように、これまで課題とされた虐待対応の迅速化、きめ細かいフォローや地域特性を生かした一体的支援などのメリットは理解するところですが、この場においても尚、移管という表現が使用されていることに注目すべきであります。都からの移管であれば、人材や財源の確保に一定程度めどが立つものの自前で全て対応することは、暴挙に等しいと考えます。本件については、先頭集団にいる必要はありません。他区の状況や都の動向を見据えて、じっくり腰を据えて取り組んでいただきたいと要望します。その間に体制の強化や充実に努めるべきであると考えます。次に防災対策ですが、二二日午前五時五九分に福島県沖を震源とするマグニチュード七.三、最大震度五弱の地震が発生しました。幸い本区は震度三ということでしたが、切迫性が高くなっているものと考えます。答弁では、管理上の問題から車の乗り入れは計画に反映しないとのことですが、仮に、車で乗り入れた区民に対しての対応やまた、車がだめならテントを持ち込む区民がいたらどう対応するかなど、あらかじめ予想される事態を想定してこそ現場の混乱を最小限にすることが出来るのではないでしょうか。私はその視点は欠落すべきではないと考えますので、計画ではこの点も踏まえ検討するよう要望しておきます。次に感震ブレーカーに対する助成については、前向きな対応に感謝いたします。会派が違うとお答えも違ってくるもんだなぁと感じる次第です。呉々もうちがやりましたなどの虚言は言わないように、書かないように釘を刺しておきます。そして「防災に寄与する路線」での無電柱化ですが、私どもの都議会議員の情報では、整備をさらに拡充していくとのことです。情報を早く把握し狭隘道路の整備がまだ先の話であれば、例えば私の地元である本町から同じく地元の笹塚まで延伸している都道である水道道路も早めに手を挙げ整備対象にすることなども必要と考えますので、よろしくお願いします。次に地域コミュニティについては、条例制定を実現したいとの意気込みをお示しになり心強く思いました。又情報媒体として、地域SNSを使っての発信や区議会議員時代から提唱されていた隣人祭りなどは、区長お得意の分野だと思いますので、今後の施策展開を期待するものです。只町会・自治会の役割に対するミニマム化については、NPO法人とのマッチング、協働するということですが、少し自分の理解が至りませんでした。是非ミニマム化にはお取り組みいただきたいと存じますし、所管の区民・環境委員会の場において、理解を深めていきたいと考えます。障害者福祉については、課題解消のため生活介護施設やグループホームの整備に対する認識が同じベクトルで意を強くしました。答弁では、「はぁとぴあ原宿」と「渋谷保育園」との一体整備にするとのことであります。その際には、両施設の代替案も含め是非利用者負担が最小限に留められる整備案をお示し下さい。これと同じですが、高齢者ケアセンターの更新については、立て替えた場合延べ床面積が約二倍活用できるとのことであります。是非高齢者福祉施設の拡充に取り組んでいただきたいと思いますが、他方老人福祉センター機能は区内唯一の施設でもあり、年間延べ二八.六八〇人からの利用者がいることを踏まえ、利用者負担を最大限考慮した整備計画案をお示し下さい。次に食育の観点からの発芽玄米導入ですが、当面特別メニューでの対応とご答弁されました。スピード感を持って対応をお願いします。そしてこの間に、教育委員会として、発芽玄米の有効性や又給食費にどれだけの影響があるかなどよく検討をお願いしたいと存じます。只事実として代々木中学校では少なくとも五年以上続けていることを十分考慮して頂きたいと思います。次にオリンピック・パラリンピックのレガシーですが、各学校において、障害者スポーツや障害者に対する理解推進を図る取り組みには、実際の体験や交流の機会が多くなくては実効性があるものとはなりません。これも私どもの都議会議員情報ですが、新年度外国人のオリンピアン・パラリンピアンの派遣事業を都では行う考えがあるとのことです。こうした事業を是非積極的に活用することを要望します。次に急速に進化するICTの現場を踏まえICT教育はスピード感を持って取り組んでいただきたいと存じます。学習効果を認識されているのであれば、早期の全小中学校の導入を進められますよう要望いたします。最後に言語能力向上に向けた取り組みについてです。確かな言語能力を育成する施策展開の中で、教育長は、日本語の重要性を答弁されました。日本語で適切に表現する力や理解する能力の向上の観点からも、是非美しい日本語を使う習慣を根付かせていただきたいと存じます。有名私立学校で挨拶として使用している「ごきげんよう」は、「ご機嫌良く」が変化したもので、「どうぞお元気でお過ごし下さい」を省略した挨拶といわれております。何よりも、「おはよう、こんにちは、こんばんは」を使い分ける必要もなく、目上、目下も関係なく使える魔法の言葉であります。また「さようなら」という、私を含め日頃何気なく使っている言葉ですが、昭和の初め、夫と共に来日したアメリカ人女性、アン・モローは、「さようなら」に感銘を受けたそうであります。左様ならば、そういうことであるならば、本当は別れたくないけれど、どうしてもそうならなければいけないのであれば、という意味が込められた言葉で、「これまで耳にした別れの言葉のうちで、このように美しい言葉を私は知らない」と夫人は自らの著書で語っております。ちなみにこの女性は、著名な飛行家チャールズ・リンドバーグの夫人であります。余談となりますが、夫人が日本を訪れてから本が出版されるまでの四年の間にリンドバーグ夫妻は、一歳の長男を誘拐されて殺害されるという痛ましい運命を経験されました。「さようなら」の語源に自らの心を重ねたのかもしれません。このように、知識として知っていて使うのと知らないで使うのとでは大きな差があると考えます。是非適切に表現をする力を養うためにも、語源を含めその言葉の持つ意味や魅力を学校現場で、取り入れた上で、言語能力の向上を推進していただきたいと存じます。以上それぞれ所感を申し上げました。今後も渋谷区議会自由民主党議員団は、取り巻く区政課題解決にむけ、全力で臨んで参りますことをお誓い申し上げ、質問を修了いたします。ごきげんよう。

丸山 たかし






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