第3回区議会定例会(9月21日〜10月13日)で丸山高司議員(自民)は都区制度改革(平成12年)について、
「都は改革の意義・区側の意向を否定した」とし”失望と不信感”の現状にあって今後の渋谷区の方針を桑原敏武区長に質した。
区長は「あくまで地方自治の原点に立っての制度改革であるべきで、都のための制度改革ではない」と強調した。
桑原区長は第1回区議会定例会(3月2日〜31日)で都区制度改革について概要を次のように述べた。
制度改革を実現し、東京大都市地域に、都を「広域自治体」とし、特別区を「基礎自治体」とする2層性の自治を実現し、
従来あいまいだった都区の役割分担と財源配分の原則が決定され、都が「基礎自治体の事務」の領域で行ないうる事務の範囲も限定された。
しかし、都の意識は改革前となんら変化することはなく(特別区制度調査会の報告)、「都が行なう基礎自治体の事務」の範囲に法令上、
「府県事務」であるものを含めるなど、依然として東京大都市地域で巨大な自治体が「すべてを掌握しきれる」という「大東京都の残像」を引きずっている。
また「広域化」「効率化」だけが1人歩きすれば、日本の地方自治は崩壊する。効率化・広域化は何のためかといえば「分権」による
総合的・民主的な行政運営のためである。
人は、理解の届く集団の中でこそ人でありうる。人は、自らの生活空間・社会空間を自らの意思で形成できるからこそ、
地方自治であることを認識しなければならない。
丸山議員は代表質問で現状をこう分析した。
▼都が12年の都区制度改革時の主張を変えた=都の役割は基本的に府県事務であり、区の事務については一体的処理が必要なものに限って
分担することとし、都が担う区の事務に応じて区の財源を都と分ける都区の役割分担と財源配分を明確にした法改正であった。
この都区制度改革の意義を忘れ、都区制度改革に関する法の規定を一般原則といい切り、再び政令指定都市の事務を持ち出した。
▼積み残した課題を協議・整理するとした約束を反故=改革時に財調の配分割合に反映しきれなかった要素をどう整理するかが
課題であり、改革を配分割合で具体化するとどうなるかを決める協議だったものを都側は、「12年改革以降事務移管はないので
配分割合の変更はない」と積み残し課題を今後のあり方の議論にすり替え、協議課題そのものを否定した。
▼12年改革の意義を否定する論理に固執しつづけた=都区の財政調整の都と区の分配割合の議論は、区民から預かった税を都と区の
役割分担に応じてどのように整理するかの議論であったものを、都は都が行なう事務の需要と収入の細目を示さず、本来、
他人の懐である特別区の需要と収入についてのみ言及し、配分割合の変更を否定した。
その上で、丸山議員は▼都区のあり方検討が現在進められているが、区長は都と渋谷区の将来像をどのように描いているか
▼都区協議の中では、都心区と周辺区、人口規模の違いなど23区置かれている立場が異なり、一律に論じることは難しく
一枚岩で対応できるとは思えないが、都心区の一翼を担う区長として、また19年度三位一体改革の影響で大幅減収が予想される中、
区長会でこの難局打開のためどのような主張をされ、今後対応していくのか、と都区制度改革の渋谷区の姿勢を質問した。